非エンジニアの私が、AIに「Python」を書かせてExcelの14ファイルを自動編集した話

AI × 業務改善

先日、クラウドワークスである案件を受けました。

ざっくり言うと、大量のExcelファイルを、決められたルールに沿って一つひとつ編集していく作業です。データの中身は守秘義務があるので伏せますが、フォルダが7つ、その中にExcelファイルが2つずつ、合計14ファイル。しかも編集のルールが5種類ありました。

依頼内容を読んだとき、私の正直な感想はこうでした。

「これ、手作業でやったら何時間かかるんだ……?」

でも、ここで3年前の私なら諦めていたところを、今回は違いました。

「これ、AIにPythonを書かせれば自動でできるんじゃないか?」

結論から言うと、できました。しかも、プログラミングを一から勉強したわけでもありません。この記事では、コードが書けない経理マンの私が、AIと一緒にこの作業を自動化するまでの全工程を、つまずいた場面も含めて等身大でお伝えします。


どんな作業だったのか(ざっくり)

具体的な中身は伏せますが、作業のイメージはこんな感じでした。

  • 7つのフォルダ、それぞれにExcelファイルが2つずつ(合計14ファイル)
  • 「あるファイルの特定の列の値を、別のファイルの列に振り分ける」
  • 「重複している値を消す」
  • 「複数のファイルをまたいで、ダブっているデータを消す」
  • 「セルの中身を、決まったルールで整形する」

——文字にすると単純ですが、これを14ファイル分、手作業でミスなくやり切るのは、想像しただけで気が遠くなります。コピペのミス、消し忘れ、消しすぎ。人間がやれば、必ずどこかで間違えます。

そして経理の仕事柄、私は痛いほど知っています。

単純作業ほど、人間がやると事故が起きる。

だからこそ、「これは機械にやらせるべき作業だ」と直感しました。


なぜGASではなく「Python」を選んだのか

自動化と聞くと、私のブログでは Google Apps Script(GAS)※ をよく取り上げています。以前、郵便番号を自動入力する案件もGASで解決しました。

※GAS…Googleスプレッドシートなどを自動で動かすための仕組み。Googleアカウントがあれば無料で使えます。

でも今回は、相棒のClaudeに相談した結果、Python(パイソン)※ を選びました。

※Python…世界中で使われているプログラミング言語。文字やデータの加工がとても得意です。

理由はシンプルで、今回の主役が「Excelファイル(.xlsx)」そのものだったからです。GASはGoogleスプレッドシートを動かすのは得意ですが、Excelファイルを直接いじるのは少し回り道が必要。一方Pythonは、Excelファイルをそのまま開いて、書き換えて、保存し直すのが大の得意なんです。

しかも今回は「7つのファイルをまたいで重複を消す」という、複数ファイルを横断する処理がありました。これもPythonの方がスッキリ書けます。

ここで大事なのは、私自身がこの判断をしたわけではないということ。「Excelファイルが対象で、ファイルをまたぐ処理がある」と状況を伝えたら、Claudeが「それならGASよりPythonが向いています」と理由つきで提案してくれた。何を使うべきか、の相談相手になってくれるのが、本当に心強いところです。


いきなり「コードを書いて」とは言わなかった

ここが、今回いちばんお伝えしたいポイントかもしれません。

AIに作業を任せるとき、つい「これ、自動化して!」と丸投げしたくなります。でも私は、いきなりコードを書いてもらいませんでした。

なぜなら、依頼の指示書を読んでいて、どうとでも解釈できる曖昧な部分がいくつかあったからです。

例えば「重複を削除する」という一文。これは「1つのセルの中のダブりを消す」のか、「同じ内容の行をまるごと消す」のか、読み方が2通りあります。ここを勘違いしたままコードを書けば、完璧に動く、完璧に間違ったプログラムができあがります。

曖昧な指示は、必ず先に潰す

そこで私は、Claudeと一緒にまず「この指示書、どこが曖昧か」を洗い出しました。すると、確認すべき点が5つほど見つかったんです。

そのうち、自分で判断できないものはクライアントさんに質問し、回答待ちの間は「いったんこの解釈で進めます」と仮のルールを決めて、後から差し替えられるようにしておきました。

これは、過去にクラウドワークスで痛い目を見た経験から学んだことでもあります。

「たぶんこうだろう」で進めると、あとで全部やり直しになる。

曖昧なまま突っ走らない。確認できることは先に確認する。地味ですが、これが遠回りに見えていちばんの近道でした。


Claudeにコードを書いてもらう

仕様が固まったら、いよいよコードです。といっても、私がやったのは「こういうルールで、こう処理してほしい」と日本語で伝えること。それだけ。

Claudeは、5つのルールを順番に実行するPythonのプログラムを書いてくれました。さらに感心したのが、いきなり本番データで動かさなかったこと。Claudeは「本物そっくりの小さなテスト用データ」を自分で作り、そこで動作を確かめてから本番に進めてくれました。

ここは、私のブログでいつも言っている考え方とまったく同じです。

  • いきなり本番でやらない
  • 小さく試して、結果を目で確かめる
  • 確かめてから、全体に広げる

AIに任せる時代でも、この「慎重さ」だけは人間が持っていなきゃいけないと、改めて思いました。


つまずきポイント①:インストールの「PATH」

さて、完成したプログラムを自分のパソコンで動かす番です。Pythonを使うには、まず自分のパソコンにPythonを入れる必要があります。

ここで最初の罠。インストール画面の一番下に、

「Add python.exe to PATH」

という小さなチェックボックスがあります。これにチェックを入れ忘れると、あとでコマンドがまったく動きません。私はClaudeに事前に注意されていたので無事でしたが、これを知らずにハマる人は本当に多いそうです。ここだけは絶対にチェック、と覚えておいてください。


つまずきポイント②:「python」とだけ打って固まった

正直に告白します。ここで私は、しっかりやらかしました。

プログラムを動かそうとして、私は黒い画面(PowerShell)に、つい python とだけ打ってEnterを押してしまったんです。

すると画面に >>> という記号が出て、何を打っても

SyntaxError(文法エラー)

と怒られる。「動かない、なんで!?」と数分間、固まりました。

種明かしをすると、これはエラーではなく、Python本体の中に入り込んでしまった状態でした。python だけを打つと「対話モード」という別世界に入ってしまい、そこでは普通のコマンドが通じないんです。

正解は、exit() と打って元の世界に戻り、

python "プログラムの場所" "フォルダの場所"

と、1行で続けて打つこと。python で一度Enterを押さない、ただそれだけ。

——こういう「初心者あるある」って、解説サイトにはあまり載っていないんですよね。でも、つまずくのはたいていこういう所。だから私は、自分がつまずいた場所こそ、正直に書くようにしています。


実行した結果

exit() で仕切り直して、正しいコマンドを打ち直したら——。

[5級] -> 漢字の知識1_編集済.xlsx, 漢字の知識2_編集済.xlsx
[4級] -> ...
(中略)
完了

一瞬でした。

7フォルダ・14ファイル分の編集が、コマンド1回で終わってしまった。手作業なら数時間かかったであろう作業が、です。しかも、元のファイルには一切手を触れず、「_編集済」という別名で新しく作る設計にしてもらったので、失敗しても元データは無傷。安心して何度でもやり直せます。

このとき感じたのは、達成感よりもむしろ、

「自分にもできるんだ」

という静かな自信でした。3年前、コードが書けなくて挫折した私が、です。


でも、「完了」と「正しい」は違う

ただし——ここで浮かれてはいけません。

画面に「完了」と出ても、それは**「プログラムが最後まで動いた」という意味でしかありません。「正しく処理できた」かどうかは、別問題**です。

そこで私は、できあがったファイルを実際にいくつか開いて、

  • 想定どおりの列が、想定どおりに書き換わっているか
  • 消すべきものが消え、残すべきものが残っているか

自分の目で確認しました。AIが書いたコードも、私の伝えた仕様も、どこかに勘違いが潜んでいるかもしれない。それを最後にチェックするのは、やっぱり人間の仕事です。

これは、別記事で書いた「AIで絶対にやらないこと」とまったく同じ話につながります。

AIの生成物に対する責任は、常にAIを使った人間に帰属する。

便利になればなるほど、この一点だけは忘れちゃいけないな、と。


この作業を通じて学んだこと

今回の案件で、改めて実感したことが3つあります。

1. 非エンジニアでも、もう「自動化する側」に立てる

数年前まで、プログラミングは一部の専門家のものでした。でも今は、「何をしたいか」を日本語で伝えられれば、AIがコードにしてくれる。アイデアと判断さえあれば、技術は後からついてくる時代になりました。

2. AIは「相談相手」として一番強い

コードを書くだけがAIの仕事ではありません。「GASとPython、どっちがいい?」「この指示、曖昧じゃない?」——こういう判断の壁打ち相手として、Claudeは本当に頼りになります。

3. 最後の確認は、絶対に人間がやる

仕様の確認、曖昧さの解消、結果の検証。この「前後の詰め」こそが人間の役割で、ここを手抜きすると自動化はかえって事故のもとになります。


まとめ

クラウドワークスの面倒なExcel作業を、AIとPythonで自動化した話でした。

  • 単純作業ほど、人間より機械に任せたほうが安全
  • 何の道具を使うか(GASかPythonか)も、AIに相談して決められる
  • いきなり丸投げせず、曖昧な仕様は先に潰す
  • できあがった結果は、必ず自分の目で確認する

「プログラミングなんて自分には無理」と思っている方にこそ、伝えたいです。コードが書けなくても、AIと組めば「自動化する人」になれます。 私自身が、その生き証人です。

なお、この案件は現在クライアントさんと最終的なルールの確認中です。回答が返ってきたら、結果も含めてこの記事を追記・修正していく予定です。成功も失敗も、リアルタイムで残していきます。

このブログでは、こうした非エンジニアのAI活用・自動化のリアルを、これからも等身大で発信していきます。「AIで仕事をラクにしたい」という方は、ぜひブックマークしてください。一緒に学んでいきましょう。


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