「動くもの」は完成した。クライアントもOKした。なのに――
前回の記事で、私はちょっと自慢気に、こんな話を書きました。
▶ 【実録】非エンジニアの私が、コードを1行も書かずに22万件の住所→郵便番号を自動取得した話
非エンジニアの私が、Geminiの力を借りて、22万件のデータ自動化をやり遂げた――。
技術的には、たしかに成功でした。
動くものは完成したし、クライアントからも「OKです」と検収※(※納品物を確認して、受け入れること)の返事をもらいました。
……なのに。
この案件、私は最終的に1円も受け取れませんでした。
今日は、その「お金にまつわる失敗」を、洗いざらい書きます。
正直、自分のカッコ悪い部分をさらけ出すのは、なかなか勇気がいります。
でも、これから副業で案件を受けようとしている人が、私と同じ轍(てつ)を踏まないように。
すべて、正直に書きます。
まず、何が起きたのか(時系列)
順を追って説明します。
① 「住所→郵便番号を280件入力」という案件に応募 ② 応募時に「自動化もできます。データ入力だけなら3,000円、自動化込みなら5,000円」と提案 ③ 280件の入力作業は他の人に決まったが、「自動化」の相談を受ける ④ 「まずは3万件のファイルで」と試したらうまくいき、最終的に22万件を統合して完成 ⑤ スプレッドシートを共有し、クライアントの検収もOK ⑥ ここで初めて、報酬の交渉に入る ⑦ 「8万円」で打診 → 「市販品が最安57,000円」と指摘される ⑧ 「60,000円+更新・メンテ20,000円」で再提示 ⑨ そのまま、音信不通に……
そう、完成して、検収もOKだったのに、お金の話で止まってしまったんです。
今ふり返ると、失敗の原因は、1つや2つではありませんでした。
順番に、解剖していきます。
失敗①:「契約」を、文面で固めなかった
一番の根っこは、これです。
私はこの仕事を、クラウドワークスの正式な契約を結ばないまま、メッセージのやり取りだけで進めてしまいました。
「いい人そうだし」「話が早いし」と、なんとなくの空気で。
でも、正式な契約がなければ、「いくらで」「何を」「いつまでに」が、どこにも残りません。
揉めたときに、自分を守ってくれるものが、何もないんです。
失敗②:報酬を「最初に」決めなかった
これも痛恨でした。
私が報酬の話を切り出したのは、全部作り終わってから。
順番が、完全に逆だったんです。
考えてみれば当たり前で、モノが出来上がってしまった後では、こちらの交渉力はゼロに等しい。
「もう完成してるなら、安くてもやってくれるよね?」という空気に、なってしまう。
報酬は、作業に入る前に決める。
頭では分かっていたのに、できていませんでした。
失敗③:スプレッドシートを「編集権限」で共有してしまった
これは、技術的な不慣れが招いた失敗です。
スプレッドシートの共有方法がよく分かっておらず、私はクライアントに**「編集できる権限」で**共有してしまいました。
本来、納品前の確認なら「閲覧のみ」で十分です。
編集権限で渡すということは、完成したデータを、まるごとコピーして持っていける状態にする、ということ。
……あくまで可能性の話ですが、データだけ抜き取られた、という見方も、できてしまいます。
真相は分かりません。
でも、「そう疑わざるを得ない状況を、自分で作ってしまった」ことが、問題なんです。
失敗④:AIの「好感触」を、鵜呑みにした
ここは、AIブログらしい失敗かもしれません。
報酬をいくらにするか、私はGeminiに相談しました。
「データの規模や、表記ゆれ対応の複雑さを考えると、6〜8万円が妥当」
そう言われて、私は「8万円」で打診したんです。
でも――これはAIの言葉を、そのまま信じすぎた例でした。
AIは、私が入力した情報の中だけで「妥当」と判断します。
実際の市場相場や、目の前のクライアントの予算感までは、知りません。
AIの出した数字は、あくまで”参考値”。最終判断は、自分でする。
これは以前、別の記事でも、自分で書いたことでした。
分かっていたのに、やってしまった。お恥ずかしい限りです。
失敗⑤:相手の「57,000円」の真意を、読み違えた
8万円で打診したあと、クライアントからこう返ってきました。
「市販されているものでも、最安で57,000円ですよ」
このとき私は、「じゃあ6万円くらいなら大丈夫か」と受け取りました。
そして「60,000円+メンテ20,000円」で再提示。
でも、今になって思います。
あの「57,000円」は、たぶん**「もっと安くしてほしい」というサイン**だったんじゃないか、と。
おそらく、相手が本当に出したかったのは、3〜4万円くらい。
その本音を、私は読み取れませんでした。
(余談ですが、相手の意図を汲み取るのは、本来Claudeが得意なところ。交渉メッセージを送る前に、一度Claudeに相談すればよかった、と後から思いました。)
じゃあ、次はどうするのか
長々と失敗を並べましたが、大事なのは、ここからです。
私がこの一件で、「次は絶対にこうする」と決めたことが、2つあります。
① 最初に、見積りと契約を「文面」で固める
何を、いくらで、いつまでに作るのか。
これを、作業に入る前に、必ず文面で残す。
口約束や「なんとなくの空気」では、二度と進めません。
クラウドワークスなら、正式な契約手続きをきちんと踏む。これを徹底します。
② 共有は「閲覧権限のみ」にする
納品前の確認は、閲覧権限だけで渡す。
編集やコピーができる状態で、完成品を先に渡さない。
たったこれだけのことで、防げるリスクがあるんです。
それでも、この経験は「赤字」じゃない
ここまで読んで、「散々だな」と思われたかもしれません。
たしかに、報酬は1円も入りませんでした。
費やした時間を考えれば、完全な「ただ働き」です。
でも、私はこの経験を、後悔していません。
なぜなら――
- 非エンジニアでも、AIで22万件の自動化ができると証明できた
- 報酬交渉と契約の「やってはいけないこと」を、身をもって学べた
- そして今、こうして記事のネタにできている(笑)
お金にはならなかったけれど、スキルと教訓は、しっかり手元に残りました。
「作れること」と「稼げること」は、まったくの別物。
技術はAIが助けてくれても、値付けと契約だけは、自分で守るしかない。
これが、今回いちばんの学びです。
同じように副業で頑張っている方の、ささやかな”反面教師”になれたら嬉しいです。
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